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2008/11/19

第32回

「家族」「先生・友達」「命」

生 和 陽 康

(鳥取県米子市出身,2007年入学)

 「重症筋無力症」

 私は6歳のときに,この病気を発症して,およそ3年間の入院生活を経験しました。「重症筋無力症」という病気をとおし,て私が感じたこと,思ったことを書こうと思います。

 まず何といっても家族の大切さです。
 母は毎日朝から夕方まで病院で世話をしてくれました。父は毎日夜一緒に寝てくれました。祖父母,兄弟はよくお見舞いに来てくれました。私が手術をするときには,家族全員が応援してくれました。たくさん迷惑をかけてしまいました。でも,こんな素晴らしい家族の一員に生まれてこられてよかったと思います。これからは恩返しをしていきたいです。

 次に,学校の先生と友達の存在です。
 担任の生成は,学校が忙しいのにもかかわらず,放課後や休日に病室に来て,学校のことや友達のこと,勉強の話などをしてくれました。友達の手紙を持ってきてくれるときもありました。私は先生の顔を見ただけで,痛みや辛さを忘れることが出来ました。友達の手紙のおかげで,勇気が持てました。

 最後に,”命”です。
 病院で多くの仲間ができました。しかし,私の一番の親友を含め,多くが亡くなりました。
すごく泣いた記憶があります。「次は自分」ではないかという不安や恐怖,みんなで「生きよう」としているのに大切な仲間を奪っていく神を許せないという憤り,仲間を助けることができなかった自分の無力さがくやしいなどの気持ちがずっと頭から離れませんでした。今も時々こういう気持ちになります。どうして彼(彼女)はこの世にいなくて,私は生きているのだろうと思うときもあります。
 でも,こんな考えではだめだと思い,一つの目標を決めました。それは「彼らの分も生きる」ことです。“命”をとおして,自分の生き方・生きる道を決めることができました。

 「重症筋無力症」は,特定疾患に指定されている難病です。完治はしません。主治医からは,「今度再発したら,命の保証はない」と言われました。でも,くよくよはしません。くよくよしていたら,みんなに怒られてしまうからです。私は一人で生きていない,自分の体は決して自分だけの体ではない,みんなは私の心の中で生きているから,という気持ちを持って生きていきたいです。

 私は10月に20歳になりました。
 皆さんにとっては,20歳になるなんて,当たり前だと思うかもしれませんが,わたしは涙が出るほどうれしかったです。普通に生きていることは,決して当たり前なのではなく,それが幸せだと気づいたからです。私は幸せ者と思いました。

 私は世界の人全員が幸せになってほしいと思います。
 だから,ただ「彼らの分も生きる」のではなく,みんなが幸せになれるように,一生懸命に努力や勉強,行動していきたいと思っています。

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