学生生活

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2005/12/22

第4回

グローバルコミュニケーション

深 川 哲 平

(愛媛県新居浜市出身,2003年度入学)

 「雲に乗れないかな・・・」と,ふざけた事を考えながら窓の外を眺めていると,機内食が届いた。私は,家族とタイに向かっている飛行機の中にいた。当時,中学生であった私は,父の仕事の都合で,1年半程シンガポールに住んでいて,現地の日本人学校に通っていた。そのため,長期休暇の際には,近場の東南アジア内をよく旅行していたのだ。隣では,母が観光スポットの本を読んでいた。行きたい所をリストアップしているようで,少し覗いてみると・・・・・「オカマSHOW」!! 私は目を疑った。中学生だった私には未知の世界。不安を覚えずにはいられないが,「両親もいるし,観光地だし大丈夫だろう」と思い,リストを母に返し,私は少し眠りについた。

 タイに着いた私達は,母の計画通りに,寺院巡り,タイ料理,象のパフォーマンスショー,ムエタイと観て回り,そして最後に・・・「オカマSHOW」。劇場内はとても暗く,ライトは艶めかしく光っていた。実際来てみると家族が楽しみにしているのと裏腹に,私の不安は募る一方であった。開演のブザーが「ブ---------------!!」。幕が上がり,流れだした陽気な音楽。でかいお姉さんたち(実際はお兄さん)がラインダンスをしながら出てくる。(ん?端っこにいるのは確実に小さいおじさんだ!! 全く女の人に見えないぞ。)最初からこのおじさんは一際目立った。

 ショーも中盤,小さいおじさん,いやあえて「彼女」と呼ぼう。彼女は,まるで加藤茶の「ちょっとだけよ・・」というコント状態で,セクシーポーズをとっていた。ここから事態は急変する。彼女が舞台を降り,男性客に無理やりキスしだしたのだ!? 次々と餌食となっていく男性客達・・・。また一人,また一人,だんだんと私の席に近づいてくる。私はびびっていた。再度言おう。私は当時中学生。([オカマ]に唇を奪われてしまうなんて絶対いやだ~~~~~!!) そんな願いも虚しく,彼女は私のところにもやってきた・・・・・。
彼女(おっさん)と目が合った。   “Don’t touch me”    ”Get out”
(なんでもいい。言葉を発しろ,自分!)
でもここは典型的な日本人,言葉が出ない。
隣で家族はどうしたものかと困っている。助けてくれる人はいない。(嗚呼 あきらめるしかないんだなぁ・・・。) 緊張の一瞬,私は目を閉じた・・・・・。

 ショーは終わりを告げた。結局どうなったかというと,私は魔の手に掛かることはなかった。小さく呟く”no…”と言う声。目を閉じたものの諦めきれず,勇気を振り絞って言った一言が通じたのか,彼女はスーと私の後ろの席の男性のところに行った。(ただ私が好みじゃなかっただけかもしれないが。) なんにせよ,私の言葉は彼女に通じたのだ。

 この経験で学んだこと,それは自分の気持ち(言葉)はちゃんと伝えろということ。自分の意思をはっきりさせること,それは,言葉の違う海外ではなかなか難しい。でも大丈夫。日本人は英語を喋れる。確かにスマートには話せない。不細工な文章でもいいのだ,きっと伝わる。

 実際,こんな私でもシンガポール滞在中,外人の友達がおり,会話していた。出会いは,バスケットコート。私がいつものコートに顔を出すと先客がいた。外人の5人組だ。近所にコートはここしかない・・・。私は勇気を振り絞る。“play together?” 彼らの返事は”yes”。一緒にプレイした私達は,その後もマイケル・ジョーダンの話とかをするのだが,私が話す言葉は,
“JORDANん~と・・godね! え~ great player!!”
文書ではなく単語,単語,単語・・・それでも私の言いたいことは伝わっていた! その後もよく彼らとバスケットをしては,多くのことを話したものだ。

 要するに会話は伝えたいという気持ち,聞きたいという気持ちがあれば,ALL OK !ということ。「次の長期休暇には海外に行ってみたい。大学の卒業旅行は絶対海外旅行だ。でも英語話せないし・・・無理かなぁ。」とか思っているあなた! 心配しないで,ぜひ海外に行ってください。海外旅行で出会った何か・・・プライスレス!


シンガポールにて
(2005.3)

補足:タイのオカマショーはとても素敵な観光地です。当時中学生であった私には衝撃が強かったため,このように書かせて頂きましたが,実際は皆さんが笑って楽しめるステージが繰り広げられています。

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