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地域分析研究会 研究紀要 「社会情報研究」

第15号 (2016年3月31日)  目次と概要

本号につきましては,各論文の全文が閲覧できます。

(巻頭言)

特集号(サービスとイノベーション)に寄せて

山 口 隆 久

(全文,PDF)

(研究論文)

非営利組織における資源統合プロセス
:岡山市上道公民館における講座事業の事例

大藪 亮

要旨

これまで資源や資源統合に関する研究は、資源や資源統合概念の特徴に理論的にアプローチするものである。しかし、それらの特徴を明らかにするだけでは、理論的・実務的示唆は得られにくい。そこで、具体的事例をもとに資源統合プロセスについて検討を行うことを本論文の目的とする。事例研究および議論から明らかになったのは、以下の二点である。資源は発見されるものであること、効果的な資源や資源統合を事前に特定することは困難であることである。そして、この結論は、既存研究において指摘された資源や資源統合のダイナミックな性質を否定するのではなく補完するものであり、資源統合プロセスやサービス・ドミナント・ロジックに関する研究をさらに進めるきっかけを与えるという点で意義がある。

キーワード:オペラント資源、オペランド資源、資源統合、サービス・ドミナント・ロジック

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(研究論文)

サービスマネジメント研究
−先行研究による概念・用語の定義−

山口隆久

要旨

本論文では、企業におけるサービスマネジメント戦略の中核を成す関係性マーケティングとCRMのシステム構築・実行における概念上の違いを検討し、既存研究でどのように用いられていたかを、関係性概念の視点から先行研究を行った上で確認する。そこでは、関係性マーケティングとCRMを実務と関連づけるだけでなく、先行研究における各概念をベースとして議論する。そして、関係性マーケティング、CRM、顧客マネジメントの3 つの概念の区別を明確化する文脈に主眼を置き、これらの用語に関する定義を整理する。
近年、CRMを中心とするITサービスマネジメントへのシステム投資は莫大なものとなっている。しかしながら、多くの企業が戦略的方向性を十分に考慮しないために、顧客と密な関係性を構築、展開することができずに、企業における貴重な経営資源を効果的、効率的に活用しているとは言い難い結果となっていることが示唆された。

キーワード:CRM、関係性マーケティング、顧客マネジメント、サービスマネジメント

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(研究論文)

近年のB2C製造業の取り組みのサービス視点からの解釈と展望

清野 聡

要旨

近年製造業ではコモディティ化などにより、製品そのものの価値を顧客が感じる程度が低下してきている。そのような状況下で色々な製造業の業界では、製品だけの提供に留まらず、種々の取り組みがなされている。本稿では、B2Cの製造業全体を俯瞰し、種々の業界を含め昨今の取り組みから、どのような新たな潮流が生まれてきているのかを明らかにする。それらが向かっている方向性は、顧客の課題解決や顧客の文脈において価値を生み出そうといったことが見られる。それらを実現するために、これまでの離れたところからのマーケティングではなく顧客との接点を持つことにより、使用シーンに作用することができる取り組みが重要視されているように思われる。またそれにより従来顧客だけでは実現困難であった価値も企業との直接的相互作用を通して、実現されている。これらのマーケティング行為は、まさにサービスで行われていることであり、現実の世界では既に新しいマーケティングとしてサービス概念の取り込みが行われている。本稿ではこれを企業活動の実態から示す。

キーワード:製造業での新たな取り組み、サービス概念、使用価値、文脈価値、価値共創

(全文,PDF)

(研究論文)

サービスの視点による小売マーケティング研究の再検討

張 婧

要旨

本稿は、これまでの小売マーケティング研究の問題点を指摘した上で、サービス研究の知見をベースにして小売マーケティング理論の再構築に幾つかの示唆を導出する。
顧客と接点を持って、サービスの関係を有することは小売業の特徴である。サービス産業の発展とサービス研究の進展につれ、実践的にも理論的にも小売マーケティング研究にサービスの視点を導入することが求められている。それにも関わらず、これまでの小売マーケティング研究は生産活動に焦点を置いている製造業の理論枠組みを援用して展開されてきた。本稿は、サービス業を対象とするサービス・マーケティング研究、サービスの理論ですべての主体、企業の活動を説明しようとするS-Dロジック、Sロジックの議論を整理することによって、グッズ・マーケティングに示唆を与えられるサービスの知見をまとめる。
それらの知見を基に、小売マーケティングの理論の再構築に向けた以下の示唆を導出した。(1)小売マーケティングの範囲は販売までに止まるべきではなく、顧客の消費使用プロセスに広げる必要がある。(2)小売マーケティングの課題は如何に顧客の消費使用プロセスに影響を与えることである。(3)小売マーケティング研究におけるサービスには、来店している顧客と相互作用するプロセスに加え、顧客が来店後の消費プロセスに作用するプロセスがある。

キーワード:小売マーケティング、サービス、サービス・マーケティング、S−Dロジック、Sロジック

(全文,PDF)

(研究論文)

サービス概念の再考と新たなマーケティング論理
−価値共創としてのマーケティング−

村松潤一

要旨

近年、マーケティング研究においては、新しいマーケティング体系の構築に向けた動きが加速化しているが、それは、S-Dロジック及びSロジックの提示を契機とするサービス概念の捉え直しに端を発している。
本稿では、サービスの本質に関わる議論を展開したあと、これまでのマーケティングとの対比から位置づけられた価値共創マーケティング、即ち、顧客の消費プロセスで行う直接的な相互作用の一翼を担うマーケティングという考え方を踏まえ、その成果をどのように捉えるかについて検討を加えた。さらに、この新しいマーケティングは、これまでの経済システムを超え、社会システムのもとで機能することから、両者の連動が必要であり、それを可能にするものであること、また、そのことによって、新しいマーケティングの進展が促されることを指摘した。

キーワード:S-Dロジック、Sロジック、サービス、価値共創、価値共創マーケティング

(全文,PDF)

(研究論文)

参加型価格決定メカニズムに関する一考察:
Pay What You Want方式を中心として

林 釗・大藪 亮

要旨

:情報優位性が買い手に移ることがS-Dロジックによって示唆されたことから、売り手による価格決定を見直す必要がある。そこで、買い手を最終価格の決定に参加させる参加型価格決定メカニズム、特にその中のPay What You Want方式について検討する。まず、参加型価格決定メカニズムの各方式を概説し、Pay What You Want方式と他の方式との違いを明らかにする。そして、Pay What You Want方式に関する3 つの問題意識に基づいて、これまでのPay What You Want方式に関する先行研究をレビューする。最後に、Pay What You Want方式と親和性の高いS-Dロジックの視点から、Pay What You Want方式の課題を明らかにする。

キーワード:Pay What You Want方式、参加型価格決定メカニズム、価格、文脈価値

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(研究ノート)

防衛生産・技術基盤の改革と外部技術へのアクセス

松村博行

(全文,PDF)

(研究ノート)

映画レビューデータの統計的分析と考察

吉長 明宏・水谷 直樹

(全文,PDF)

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