岡山理科大学総合情報学部社会情報学科
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社会情報の!(なるほど)

【馬上の武者の!(なるほど)】

軍記物に見る刀剣使用について

今までは、例えばテレビの歴史ドラマなどで戦闘のシーンなどでは、刀を振り回して戦っている場面が描かれているように、日本の合戦においては刀剣が中心的な武器だと考えられてきました。また、それは主に馬の上に乗りながら使用されていたと考えられてきました。特に、日本刀の特徴である、湾曲、つまり「反り」は、馬の上から振り下ろしたときに使いやすく有利であるから、そのような形になった、とされていました。そこで、実際にあった戦争を題材にした物語り「軍記物」にあらわれる武器・武具や馬に関する表現を分析しました。

調べたのは、刀剣が彎刀化したと思われる時期の前後の軍記物である『将門記』『陸奥話記』『平家物語』『保元物語』『太平記』『平治物語』で、そこに表れる武器武具や戦闘に関する語を抜粋し集計しました。例えば成立年代が1198年から1221年とされている、1118年から1199年までを描いた『平家物語』では、刀157、剣47、首9、頸56、斬48、切9、きる44、弓149、矢169、箭26、射180、ゐる118、馬326、 騎330、楯12、鎧100、腹巻17、甲89、甲冑10となり、これを刀剣、弓矢、馬、防具の四系統に分けると、右の円グラフのようになります。さらにこれを時代順に上記6つの軍記物で調べた結果が、右の折れ線グラフです。

武家を表す言葉としても「弓箭の家」などという表現が用いられていて、グラフから見ても武士の武器は弓矢であるという認識が強かったことがわかります。

馬上使用についても、『平家物語』7、『保元物語』2、『太平記』34、『平治物語』3とその例は非常に少なく、しかも、刀剣の使用が増えるからといって馬上使用も一緒に増えるというわけでもありませんでした。つまり、軍記物の表現から考えると、今まで考えられてきた合戦の常識を見直す必要があるということです。

出典:末包祥彬「軍記物にみる刀剣使用について (卒業研究論文)」(2005年3月) による。

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上記は,岡山理科大学・総合情報学部・社会情報学科の「歴史・文化コース」での研究成果です。

■ 話題提供:志野敏夫先生

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