「経済学は世の中の役に立たない」という声をしばしば耳にします。経済学とは我々に身近なモノである一方、実のところ得体のしれない学問だと思われているのかもしれません。おおよそほとんどの学問は「世の中をより良くしたい」という目的を持っています。ただし、その目的を達成するためのアプローチが異なります。
例えば、医学であれば人の体を健やかに保つことを通じてより良い世の中の実現を目指すでしょうし、法学は我々が生きている社会に秩序を与えることにより目的を実現しようとします。
では、経済学はどのようなアプローチをとるか。それは資源配分です。我々が生きているこの世の中で無限に利用できるモノは何一つとして存在せず、限りある資源を用いて経済活動が営まれているため資源をどのように使うのか、という問題は非常に重要であり、これに注目するのが経済学です。
ところが、資源配分、というとこれまた非常に難しく感じるかもしれません。しかし、我々は常に資源配分の問題に直面しています。例えば、「時間」という資源の使い方を考えてみます。1日24時間をどう使うか。8時半ごろに授業が始まり学校が終わると、クラブ、バイト、デートさらには睡眠時間に何時間費やすかを考えるのではないでしょうか。もっといえば、寿命を迎えるまで自身の人生設計を考える時がいずれくるかと思います。
もし、寿命がなく永遠に生き続けることが可能であるならば、このような問題には直面しないはずですが、限りある時の中で生きている我々にとって時間をどのように使うのか、という問題は非常に重要なのです。同時に、限りある時間のうち何時間働いて、それによって得た限りある資源である「お金」で何をどれだけ購入するか、という問題にも常に直面しています。このようにしてみると、我々は常に資源配分の問題に直面していませんか。
経済学は身近な学問であり、我々の当たり前の日常生活を分析対象としています。なぜ人は結婚するのか、どのようにして親(子)から小遣いを引き出すか、などといった事まで分析できる経済学を学んでみませんか。