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キャンパスライフ

2011/10/16
[CampusLife] 山口ゼミ合同研究会(地域分析研究会)

山口ゼミ、広大マネジメント研究センターと合同研究会

9月22日に、広島大学マネジメント研究センターの村松教授、藤岡教授らをお迎えし、山口ゼミとの合同研究会(岡山理科大学社会情報学科第40回地域分析研究会)が行われました。

この合同研究会の大きなテーマは、地域ビジネスにおける“価値”の創生です。

始めに、山口先生による「地方百貨店と消費者とによる価値共創」というテーマで事例研究がありました。先生は、現代の百貨店における関係性マーケティングの実態調査の結果を発表されました。
 その代表的な手法の1つとしてCRMを取り上げ、例えば、個人のお客様との取引であれば、過去の購入記録やWebサイトへの訪問を調べて、いつどんな商品を買っているのか、何に関心があるのか、などをCRMシステムを利用して細かく分析することにより、さらに行き届いたサービスやご案内をすることができます。
また、コールセンターなどの窓口では、お客様の不満や質問などの情報を更なる注文に結び付けたり、顧客離れを未然に防いだりすることも可能となるそうです。ただ、このCRMは関係マーケティングの到達概念であり、現代の百貨店はこのCRMシステムへの機能依存が続いており、価値共創への発展につながる手法が必要な時期に来ているとの話でした。

2人目はJA広島信連経営対策課長の村上真理先生による「農業生産者と消費者とによる価値共創」というテーマで事例研究がありました。村上先生は「農産物直売所における生産者と消費者との価値共創」というテーマで話をされました。
 2010年時点で日本には約1万6千か所の直売所があり、規模も大きくなる傾向にあり、内閣府の調査では回答者の28%「よく利用する食物の入手先」として直売所を挙げられているそうです。なぜ品数が多く、便利なスーパーマーケットなどの店舗ではなく直売所を利用する消費者がいるのでしょうか?



 村上先生はその理由が農産物の消費は購買後にあり、消費者の満足が消費の際に得られるものであるからではないかと言われました。つまり、消費者は野菜を買うことに満足を求めているのではなく、野菜を食べる際に気にする、「商品の鮮度」「味」「安全性」などから満足を得ているということです。

交換時、この場合で言うと野菜を買う際の顧客満足を捉えてきた従来のマーケティング論とは違った視点から村上先生は直売所が高く評価されるメカニズムにアプローチされていました。
これから、消費者が今以上に商品の鮮度や生産地、生産者を気にかけ始めれば、直売所を利用する人が増えていくと思います。そのために今後も消費者との価値共創の研究を続けていかなければならないと感じました。

そして最後に特別講演として、広島大学大学院社会科学研究科教授でもある松村潤一先生にお越しいただきました。
大学では、マーケティング論を専門に,流通論,経営戦略論,経営立地論等をご指導され、また、マネジメント研究センター長としてもご活躍されている方です。 テーマは「企業と消費者の価値共創」で進められました。“価値共創”とは、売り手と買い手が一緒になって商品を作り上げていくという意味です。つまり企業と消費者が同じ立場になってモノを作りだしていくということです。
特に印象に残った内容が“ナレッジ・スキル”という考え方です。ナレッジ・スキルとは企業・消費者・自給自足者との位置関係を把握することです。このことからマーケティングをする際にどこをターゲットに考えるか、またそのモノに対し、消費者が求めている理由、などが分かります。
カレーを例として左の表を活用してみましょう。自給自足でカレーを食べる場合、カレーを作ること自体には企業は関わっていないので、1番左の消費者のナレッジ・スキルとなるわけです。
一方、カレーをカレー屋に行って食べるということは、食べる場所、カレーを作る作業、後片付けまですべて企業が行うマーケティングであり、1番右側の生産者のナッジ・スキルとなるのです。また、レトルトカレーの場合は、半分は企業、半分は消費者が作業を行う際のマーケティングになるので、真ん中の企業と消費者がちょうど半分ずつのナレッジ・スキルとなるわけです。このナレッジ・スキルの共有が価値共創の基本的考え方となり、そこから発展していく概念だそうです。

今回は、研究者向けではなく、私達学生向けに、最新の概念モデルであるSDロジックを既存のGDロジックとの比較で分かり易く丁寧に説明をしていただきました。マーケティングを本格的に学ぼうとしている私達にはこのような機会は貴重な学びの“場”でした。

 

(文・写真:山口ゼミ3年一同)

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