社会情報学科で学べる「商学」
大藪 亮 講師
■ 専門分野
 マーケティング|消費者行動
■ 担当科目(学部)
 流通ビジネス|情報システム|市場行動
 経営組織|サービス経営|国際ビジネス
■ 担当科目(大学院)
 マネジメント特論
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 「商学とはどのような学問ですか」という問いに対して、皆さんはどう答えるでしょうか。一般的な理解では、商学とは商品の生産・流通・販売など、ビジネスの様々な側面を研究して、実際に役立てるための学問、つまり「商(あきな)い」を学ぶことですから、お金儲けの学問と単純に答えるかもしれません。
 しかし、多くの経営者が「商売は理屈じゃないんだよね」、「学校で学んだ知識は現場で通用しないよ」と言います。商学を学んだからといって商売が上手くいき、お金儲けできるとは限らないと言えるでしょう。
 では、私たちは、商学で一体何を学ぶのでしょうか。私は「商学を研究することを通して世の中を見通す力を身に付けること」であると考えています。それは私たちが常識であると考えているものを疑い、それを別の角度から捉え直すことです。
 例えば、私のゼミ生で、ネット上で参加者の募集やプラン作成を行なうといったソーシャル旅行サービスを利用する若者の消費行動を研究した学生がいました。彼は、多くのメディアで若者の旅行離れが指摘されているにも関わらずソーシャル旅行サービスを利用する若者が増えている点に注目しました。これまでの旅行という消費行為に対する常識的な見方は「楽しむために旅行する」というものです。それは当たり前のようにも思われます。しかし、彼は、その見方ではサービスを利用する若者の消費行為を上手く説明できないと考え「参加者は、仲間づくりのために旅行する」と結論付けました。その結論を導くために、彼はネット上における参加者同士の書き込みを丹念に追い、実際に、あるプランに参加し調査しました。
 実は、自然科学と比べて商学や経営学といった社会科学においては誰にでも分かるような新発見というものはあまりありません。上の例のように、これまでの物の見方(常識)を疑い別の解釈をすることが中心となります。このように言うと「何か難しそうだなぁ」、「疑ってみることなんてできないよ」と思うかもしれません。
 しかし、私たちは生まれながらにして消費者であり何らかの形で商売を経験しているという点で、研究対象は身近に存在しています。自分が興味を持っている現象を別の角度から理解していくと考えれば、商学はとても楽しい学問であると言えるでしょう。

Department of Socio-Information, Faculty of Informatics, Okayama University of Science.