社会情報学科で学べる「法学」
坂部 望 准教授
■ 専門分野
 民事法学|情報法|知的財産法|医事法
■ 担当科目(学部)
 市民生活と法|情報法|情報化と知的財産
 犯罪と法|日本国憲法論|一般行政演習
■ リンク
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 私の研究は、法学の中でも民事法を中心とした、情報法や医事法です。
 まず、法律学、いわゆる法学を担当している身としては、本当に身近なところでも、法は私たちの助けとなることを指摘したいと思います。法律の基礎知識をきちんと理解していれば、社会の様々なトラブルに巻き込まれずに済むからです。また、役所や大企業が所有する自己の情報を開示してほしい場合なども重要な課題になりました。昔は今と違って自分の情報について誰からも干渉されない「一人にしておかれる権利」という性格のものでした。
 しかし現在は、「自分の情報は自分で管理する」自己コントロール権という時代に変わりました。自分の情報をもつ各種の機関に、情報を開示請求したり、情報の訂正を要求したりすることが可能になりました。これは戦後、国民の権利意識が大きく様変わりしたことによるものでしょう。個人情報に関する法令が特に多く、最近では通称「マイナンバー法(番号法)」も成立しています。
 研究分野の一つである情報法について言及するならば、コンピュータを通してのやりとりでは、お互いの顔が見えないので、トラブルが起こりやすくなっています。ネットで商品を注文し、お金を支払ったのにもかかわらず、商品が届かない、欠陥品が届いたなど悪質な取引に巻き込まれることも他人事では済まなくなりました。2000年を過ぎて、情報社会に関連する法規が矢継ぎ早に成立しました。これらの法律の検証が私の研究テーマでもあります。
 次に医事法について述べるならば、医療と生命倫理など、医療分野の先端技術が人間の尊厳に関与するようになったことです。この分野については、法だけではなく道徳や宗教の問題と重なり合う複雑な様相を呈しています。このような問題を追究することは現代社会において避けて通れないものがあるように思います。また、医療手段の高度化により、情報医療の在り方が問われています。私はインターネットを用いた遠隔医療の存在にも大きな関心をもっております。これは、インターネットを介した僻地と都会、途上国と先進国をネットワークを利用して、高度な専門医から診察を受けることを可能にするものです。先進国と一部の途上国では、これらについて立法化される傾向にあります。いずれ我が国においても関連法規ができるのではないかと想定しています。
 このように現代は科学の進展が早いだけに、法領域も遅れをとらないようにすることが課題であると認識しています。以上のような法学における研究テーマを学生の皆さんとともに考えていきたいと思います。
Department of Socio-Information, Faculty of Informatics, Okayama University of Science.