マーケティングとデータサイエンスで用いられる用語の解説です。
新幹線や冷蔵庫、携帯電話にインターネット、これらは素晴らしい技術者の方々の『知』を結集して作り出してきたモノやサービスであり、技術革新、いわゆるイノベーションとよばれています。そのお陰で、私たちはずいぶんと快適な社会の中で生活ができています。しかし、時代背景も大きく変わり、現在、モノやサービスは、マーケティング主導による新たな経済的な付加価値を創造することが強く求められています。グーグルやスターバックス、アップル、ソフトバンクに無印良品など、これらを実現できた企業の躍進が目立っており、いわゆる勝ち組となっています。つまり、現代社会のイノベーションは、従来の技術革新から、新しいサービスやアイデアから生み出される経済的な付加価値の創造へと、意味合いが移り変わってきています。
これまで,マーケティングはモノ(いわゆる消費財です)を対象として発展してきました。それは,マーケティングが生まれた当時の時代背景(19世紀半ばのアメリカ,大量生産の確立や物流網の発達)が大きく影響しています。しかし,サービスには,目に見えない(たとえば,レストランでの接客)といったモノとは異なる特徴があります。そこで,「モノではない財(いわゆるサービス)」を取り扱うマーケティングが必要となったわけです。つまり,サービス・マーケティングとは,無形財を対象としたマーケティングということになります。
Internet of Things(モノのインターネット)とは,従来は,主にパソコンやサーバー、プリンタ等のIT関連機器が接続されていたインターネットに,それ以外のさまざまな「モノ」を接続する技術です。機械同士がネットワークでつながるM2M(Machin to Machine)の考え方から来ています。テレビやデジタルカメラ、デジタルオーディオプレーヤー、HDD・DVDプレーヤー等のデジタル情報家電をネットに接続する流れは,既に始まっています。さらに,デジタル化された映像、音楽、音声、写真、文字情報がインターネットを介して伝達されるシーンがますます増えています。現在では,スマートフォンやタブレット端末もインターネットに接続されるのは当たり前で,便利に利用されています。これまでネットワークとは無縁だったものが対象になるため、今後,市場規模が爆発的に大きくなるといわれています。大注目の分野です。
その文字どおり,大きなデータのことですが,既存の「大きい」を超えたものをビッグデータとよびます。「市販のデータベースやデータ処理ソフトで処理することが困難」と,その巨大さや複雑さを表したりします。容量が大きいだけでなく,種類の多さや蓄積速度の速さまでが桁違いのデータです。Webで展開される情報,FacebookやTwitterなどのSNSのデータ,購買履歴などのPOSデータ,センサーに秒単位で記録されるデータ,遺伝子(ゲノム)データなど,ICTの進展により、このような特徴をもったデータが生成・収集・蓄積されることが当たり前となりました。これらのデータを関係付けすると,さらに巨大化します。大きいがゆえに,無駄で邪魔なデータに隠れて,あるいは処理時間や処理方法の限界に直面して,大切な規則や傾向を見逃すこともあります。ここを乗り越え,ニーズに即したサービスの提供や業務効率化,異変の察知や新産業の創出などへの可能性を広げていくことが,ビッグデータ活用のポイントです。
データサイエンティストとは,統計学や情報処理などの情報技術を駆使し,企業がもつ(あるいは目的に応じて収集した)膨大なデータを処理し,データから価値を創出し,ビジネスの課題に対する解決策を示すことができる専門的人材のことをいいます。したがって,データ解析やコンピュータの力に加え,ビジネスに精通し,分析結果から戦略が提案できる能力も兼ね備えた人材ということになります。あらゆることがデータから導かれる時代、ビッグデータやIoTを活用する上で不可欠な職種です。日本では,特に,その不足が課題となっていて,多くの企業がその人材を求めています。社会に出るまでに,問題解決型の体験を多くして,データ分析の目線で統計学,数学,情報等を身につけておくことが重要になります。正式な職種としての定義はまだあいまいですが,最も求められている人材といってよいでしょう。