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社会情報学科・社会情報専攻 研究紀要 「社会科学系研究」

第4号 (2006年7月12日)  目次と概要

(研究ノート)

イギリスにおける行政・NPOの協働枠組みの意義と課題
-コンパクトとコンパクトプラスをめぐって-

金川 幸司

要約

  行政とNPOとの協働はローカルガバナンスを考える上での世界的かつ今日的課題である。本稿では,イギリスの現労働党政権における自治体とNPOセクターの協働政策であるローカルコンパクトとコンパクトプラスを紹介し,その内容について考察する。具体的には,1999年に初めてのローカルコンパクトが締結されたが,その後の動きをサンドウェル市の事例等を紹介しながら,どのような意義と課題が存在するかを示す。さらに,新しい政策枠組みとして提示されているコンパクトプラスについてその背景と概要を示し,その意義と我が国にとっての含意について考える。

キーワード:NPO,協働,コンパクト,評価,担保力,フルコストリカバリー

(研究ノート)

インターネット利用者拡大におけるメディア利用の変化と影響
-岡山理科大生を対象としたメディア調査からの考察-

木村 邦彦

要約

  「新聞離れ」,「活字離れ」が止まらない。特に若い人たちの新聞接触頻度は下がり,同時に閲読時間の低下が続いている。岡山理科大生の私の講義受講者を対象にした継続的な「メディア接触調査」では,1日の閲読時間が10分を切り,「新聞を読む」という状況から次第に遠ざかりつつあるように思う。
  この調査において,05年,06年,テレビ視聴時間の大幅な低下という,新たな状況が出てきた。04年までには,日本新聞協会などの調査とほぼ同じような視聴時間を見せていたのが,突然の変化である。一因として考えたのが,ここ数年急激に拡大しているインターネットだが,新聞協会やNHK放送文化研究会などの調査からは明確な回答が見られていない。しかし,ネットはこれからもメディアにとっては,課題を抱えた「目」である。

キーワード:新聞離れ,活字離れ,新聞閲読時間,テレビ視聴時間,インターネット利用人口,情報

(研究ノート)

E-LEARNING/E-TEACHING OF STATISTICS
Students' and Teachers' Views

Wolfgang Härdle and Bernd Rönz

要約

  Travel arrangements and flight ticket booking via inter-net is widely used nowadays and follow already certain standards. Although increasing activity for multimedia/web education components can be ob-served, we are far away from standards in this important area. Statistics can possibly profit the most from e-learning since it requires a variety of skills including handling of quantitative data, graphical insights as well as mathematical ability. In this paper we take two positions – the student’s view and the teacher’s view – and discuss their relative coherence in order to propose standards for e-learning of statistics. The proposed standards are flexible with regard to content, multi-functionality, interactive capability and design. For this reason the main focus may be directed on quality of e-learning tools in order to meet both teacher’s and student’s requirements. This is especially true for statistics which is taught in various disciplines. We present our thoughts and exemplify them via the e-learning/e-teaching tools MM*Stat and e-stat. The structure and the main characteristics of both multimedia tools will be explained. Then it will be described how such standards may be transferred to other cultures, languages or disciplines via the plat-form MD*Book.

本稿は,岡山理科大学平成17年度研究会「地域分析研究会」の第2回研究会(2005.5.20)において,講師として招いたフンボルト大学のWolfgang Härdle教授より,当日の講演「Statistics in finance and computing」に関連する論文として寄稿いただいたものである。講演では,経済やファイナンスの学習・研究に必要となる統計の知識とドイツにおけるこれらの教育の実際について紹介願った。本稿は,その統計教育用に教授の下で開発された学習システムについて述べたもので,第4回国際計算機統計学会アジア地区大会でも発表されたものである。(社会情報学科 森 裕一 記)

(翻 訳)

西部大開発における生態建設についての考察
-陝西省北部を中心として-

包茂宏
訳:待井健仁,陳欣,井上堅太郎

要約

西部大開発は中国政府社会主義が現代化に向かう重要な時期に実施した一つの政策である。この開発はいくつかの目標を掲げている;1、迅速な発展、すなわち東部沿海地区との不均衡を縮小し、同等の経済発展を目指す。2、自然生態系の保護建設を推進し、自然豊かな西北部建設を目指す。ここしばらくの政策実践により、この建設は一定の効果を挙げており、西部の様相には改善が見られる。ただし、この政策にもさらに一歩進んだ改革が求められる。該当地の農民にはある種の疑惑と困惑が窺える。われわれは、先だって延安の甘泉県と延安市、楡林の米脂県、および靖辺県、定辺県、塩池県、寧夏の銀川市などにも途中下車し、文献資料を調べるかたわら当地での口述調査、実地参観を行い、内容の充実した資料を作成した。下記のレポートは、私が研究を通して考察した成果を皆さんと討論するために準備したものである。

注1:この報文は,包茂宏氏(北京大学)が2005年11月10日に,岡山理科大学において講演されたときに用意してくださったものを許可を得て掲載するものである。
注2:この訳を完成させるにあたり于暁麗氏,劉芳氏(岡山理科大学大学院社会情報専攻)に助言をいただいた。

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