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社会情報学科・社会情報専攻 研究紀要 「社会科学系研究」

第2号 (2000年2月20日)  目次と概要

(論説)

財政情報表示のゆらぎ―公会計の貸借対照表化の試み―

景山 弘

要約

  国、地方自治体を問わず、累積財政赤字を抱え危機的状況にある多数の公会計にあっては、財政構造改革や財政滋雨方のアカウンタビリティの観点から、財務状況の貸借対照表の作成に向けた取り組みが活発化している。公会計の貸借対照表による開示の取り組みは、歳入、歳出決算の財政情報だけでなく、国、地方自治体の会計に、民間企業と同様、決算時には貸借対照表を導入することにより、一定時点における資産や不才の残高を算出して財政の全体像を把握できるようにし、将来の国民負担をより正確に表示する試みである。最近では、民間や政策シンクタンクが独自に貸借対照表を試算したり、あるいは都道府県、市町村、特別区が貸借対照表を作成・公表する例が増えてきている。
本稿では、「PHP総合研究所」と「構想日本」が試算した貸借対照表、および東京都が「財政再建推進プラン」のなかで財政状況の分析に活用することを目的として作成した貸借対照表を取り上げて、作成・試算過程における問題点や課題、さらに試算結果の有効活用に向けての研究課題などを探ってみよう。

キーワード:財政状況のAccountability, Balance sheet, Availability, Simplicity, Evaluation

(研究ノート)

日本の環境海外協力-その2
「アゼルバイジャン国バクー市環境管理計画」策定に関する所感

井上 堅太郎

要約

  2000~2005年の15ヶ月間の予定で、国際協力事業団によるアゼルバイジャン国への協力案件として「アゼルバイジャン国バクー市環境管理計画」の策定調査が実施されている。これは国際協力事業団の協力事業の内の「開発調査」として実施されているものである。
バクー市は、2200平方㎞、人口約200万人のあぜね倍ジャン国の首都であるが、石油を採掘した跡地の土地利用や周辺環境への石油成分による環境汚染、不十分な管理・処分の状況下にある廃棄物、バクー湾の石油汚染等の水質汚濁、工場・自動車排出ガスによる大気汚染、土地利用・都市計画等の都市化への対応、及びカスピ海等の自然環境保全、等々の諸課題を抱える地域である。
アゼルバイジャン国は、旧ソ連の崩壊、新しい国としての独立、域内の「ナゴルノ・カラバフ紛争」などによって現在は経済的に落ち込んでいるが、石油資源を有することから経済的な回復が近いのではないかとする考え方がある。そのことは一方では、現在の環境状況を一層悪化することに繋がるのではないかとの懸念があり、この環境計画づくりが地域の環境を保全するために基本的な役割を果たすことが期待されているものである。
計画は、可能な限り環境状況をよく把握した上で、環境の価値観についての共通認識をよく確認しつつ確かな目標を設定し、短期、中期、長期的な対策計画を盛り込み、その実施をより確かにするようにできる限り個別の対策を具体的な計画として提示し、さらにはその進行管理の仕組みについのも盛り込むことが想定されている。

キーワード:アゼルバイジャン、バクー、環境管理、開発調査、環境協力

(研究ノート)

土都心地域における駐車場をめぐる若干の問題点
―地方中核都市・岡山を事例として―

泉 俊弘

要約

  都市における多様な土地利用形態は、その都市がおかれた経済的・社会的条件によって規定される。本稿では、都心部における土地利用の具体例として駐車場を取り上げて、その実態に反映された地域経済的含意について検討を加えた。

キーワード:地代理論、土地利用、中心市街地、都市計画

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