顔 FACE
こばやし・ひろあき


【出身】
兵庫県


【委員など】
岡山遺跡保護調査団 委員長, 津島遺跡史跡整備委員会 副委員長 など


【所属学会】
日本考古学協会,日本文化財科学会,日本情報考古学会 など


【関連Webページ】
学科教員紹介ページ(小林先生)
研究室訪問(小林先生)

 

 

▽研究の一部の紹介▽

発掘の現場(笹畝遺跡)


岡山理科大学の専用道路入り口バス停のところにある朝寝鼻貝塚。先生はこの発掘にもかかわられた。

先生の専門とする分野は、先史時代の考古学。特に、先史時代の道具製作技術の解明や栽培植物の追究に力を入れておられる。学外での活動は、岡山遺跡保護調査団の委員長や津島遺跡史跡整備委員会の副委員長を務めるなど、さまざまなところで活躍されている。

「岡山県遺跡保護調査団」は、岡山県内を中心とした遺跡の保護に当たっている。たとえば、ある地域の再開発や道路建設の際、その予定地で遺跡が見つかった場合、関係団体と情報交換しながら、その遺跡の保護を行っていくことが目的である。最近では、2005年に開催された「おかやま国体」でメイン会場として使用された岡山県総合グラウンド(桃太郎スタジアムなど)を整備する際に、岡山県と「津島遺跡検討委員会」とが話し合って、総合グラウンドおよびその周辺にひろがる『津島遺跡』の保護対策を行ったという。それが、次にあげる「津島遺跡史跡整備委員会」の活動につながっている。先生は、この「遺跡保護調査団」の委員長を2006年11月から務められている。委員長は、過去6年間では岡山大学の教授が2人務められた。先生は、その後を引き継いでおられる。月1回開かれる岡山県との定例会議では、県が現在発掘している遺跡の場所や状況を報告してもらい、先生たちは、それに対して質問や意見などを述べるのだという。発掘の状況は刻一刻と変化するので、素早い判断が必要だとおっしゃる。さらに、発掘を行う際の視察・助言などのために、学識経験者などを選出し、対策委員として現場に送り込むのも先生たちの仕事なのだという。
「津島遺跡史跡整備委員会」は、『津島遺跡』を整備し、有効利用を図ることを目的とする委員会で、平成20年度までの国庫補助を受けている事業である。上にあげたように、岡山県総合グラウンド周辺に広がる弥生時代を中心とした集落遺跡である『津島遺跡』、これは国の史跡(国指定遺跡)で、高床式倉庫が倒れた状態で発見されたり、弥生時代の水田が発見されたりするなど、「(津島遺跡は)非常に貴重な遺跡である」と小林先生。それゆえ、この『津島遺跡』は復元の措置がとられ、総合グラウンド内の遺跡エリアで、その姿を見ることができる。たとえば、水田の沼地の復元。弥生時代に生えていた植物を植え、水の循環の細かな調節を行う。そのために、底には土に似たグラスファイバーのようなものを使用する(これ自身、子どものケガ防止の役割も担っている)。また,竪穴住居。これは復元物とはいえ、建造物なので、建築基準を満たさなければならず、防火対策まで施さなければならないのだという。このように、一口に「復元」と言っても、基準をクリアさせたり、最先端技術を駆使したりと、実にさまざまな工夫が施されているのである。復元された竪穴住居は、2007年11月2日〜6日に開催された「第19回全国生涯学習フェスティバル『まなびピア岡山2007』で初公開された。また、『津島遺跡』からの出土品は、桃太郎スタジアム内(1階)に展示されている。先生は、この「津島遺跡史跡整備委員会」の副委員長を務められており、現場視察を行ったり、整備・復元の状況を査察したりしておられる。さらに、委員会で決定したことなどは、記者などに逐一情報を公開するのだという。

先生はこれからの課題として、「平成の大合併の影響によって、遺跡に関係する専門職の人数が減少し、専門職一人ひとりの守備範囲が広くなり、いろいろなことが手薄になり、すべてのことをまかないきれなくなってきている」ことをあげる。現在、岡山県では30〜40人の専門職がいる。発掘するには資格が要るのだが、資格をもっている人が少ないという現状もあるという。保護調査団としては、専門職をもっと増やしてほしいと要望しているそうである。
このような活動のほかにも、県内外の知り合いから、突然電話がかかってきて、いろいろ用事を頼まれることがあるそうだ。それらにも丁寧に対応されている。「この前も急に呼び出されて・・・朝から高速を飛ばして行ってきて、大変だったよ。」と言いながらも、目の奥はどこか楽しそうであった。

2007/12/11
取材・文・撮影:田中基紀(05生)・小井夏美(05生)
笹畝遺跡発掘の写真提供:小林先生

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